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八ヶ岳大同心雲稜ルートおよび中山尾根(2022.7.16~17)

<7月16日>

零時過ぎ、小淵沢インターチェンジを降りたすぐのコンビニの駐車場で運転席のシートを倒して寝る。

5時半にやまのこ村の駐車場に停める。計画では18日下山にしていたので、駐車料金は3日分3000円。

赤岳鉱泉8時着。登攀に不要な荷物をボストンバッグに入れ、赤岳鉱泉小屋の隅にこっそりデポさせてもらう。

天気はあまり良くない。予報では夕方から雨。時間は十分ある。

大同心取り付きには11時着。案の定持病が出て、足は上がらないが息が上がり、2時間のコースを3時間もかかってしまった。

壁の手前の分岐を左に歩いた突き当りが雲稜ルートの取り付き。青いスリングが、V字に、ボルトハンガーに取り付けられている。壁はところどころ被っている。溶岩に半分埋まったような10~40cmくらいの石のガバホールドが豊富にある。

1P目、10mほど上の白いスリングを目指し、登る。その上のかぶり気味のところA0を使ってしまう。後は何とかこなす。

2P目、V字に窪んだ岩でホールドが見当たらず、A0を使ってしまう。

3P目、崩れそうな岩をだましだまし登る。途中、晴れ間がのぞき、気温も上がって暑さを感じるほどとなる。

大同心雲稜ルート

懸垂後登り返して3P終了点に着いた時、まだ午後2時だったが雨が降り始める。早すぎるが、どうも回復する気配はない。急いで合羽のジャケットだけ着て下降。2P目終了点で、懸垂用に持ってきた50mの細引きがウンともスンとも動かない。登り返す羽目となる。

そのまま2P懸垂を続け、1P目の終了点に見覚えのあるカラビナが2枚、回収し忘れていたのを発見、回収する。

雨足は強くなり、古い合羽はシームがはがれて水が漏れ、体が濡れてくる。適当にロープ、登攀具をリュックに詰め込み、下降を開始するが、雨で泥状になった下降路は、滑りまくって何度かしりもちを着く。赤岳鉱泉に到着したのは17時過ぎ。体は雨でぐちゃぐちゃになっていた。

デポを屋根の下に置いておいてよかった。なんとかテントを設営し、もぐりこむ。食欲が湧かない。適当に水分を取って寝る。荷物はことごとく水に濡れ、不快極まりない。零時前に一度起きたが、雨は止む気配がない。スマホは圏外で天気が確かめられない。来る前に確認したところでは、明日は晴れだったが、これでは明日下山だな。そう思いつつ再び寝る。

 

<7月17日>

5時前起床。外は明るい。テントから顔を出すと晴れ間がのぞいている。いつの間にか雨は止んでいた。

6時に出発。しかし、ルート図がテントの中で行方不明となってしまった。まあ、適当に登ろう、とお気楽に構える。

30分ほどで中山乗越。そこから稜線に向かって登る。道がところどころわかりにくいが、樹林帯を抜けたところで岩稜帯が出現する。真新しいボルトハンガーで確保をとり、直上のボルトは無視して、右のボルトでランナーをとり、登る。20mほど登ったところに確保支点があるが、これでランナーを取り、左の草付きに入り、そこから直上して、スリングが残置されたダケカンバの枝で確保をとる。ガスが湧いてきて雨が降り出す。やれやれ、今日も敗退だろうか。念のためスマホで天気予報を確認する。赤岳鉱泉では圏外だったが、ここでは受信できる。午後から晴れとある。まだ8時過ぎだったが、これ以上天気は悪くならないだろう、と踏んで登攀を続行する。

ロープを畳んで、しばらく踏み跡を歩く。ところどころ手を使って攀じる。さほど難しくないが、ロープが昨日の雨を吸ったせいか、背中のリュックが重く、バランスを取るのに苦労する。

再び岩稜が出てくる。ロープを出し、登攀に入る。ホールドは豊富で難しくない。直上した後、凹状から左のカンテに移り、そのまま這い上がる。20mほどで岩稜が尽き、踏み跡の明瞭な草付きに入る。確保支点を求めてしばらく歩くと、前方の岩にスリングのかかったボルトハンガーを発見する。

中山尾根2つ目の岩稜帯を過ぎる

そこから再び歩きとなる。しばらく行くと前方に三度岩稜帯が現れる。真正面の岩はボルトもなく、とても登れそうにない。右下に踏み跡があるが、上部のなだらかな凹状の草付きに抜けるルートが見当たらない。と思ったが、よく観察すると、凹状の草付き左下の被った壁に微妙なトラバースルートがある。ボルトが打たれているが、ロープなしでも登れそうである。

そこを慎重に登り、凹状を詰めると頂上らしきものに出た。まだこの先があるのだろうか。靴を履き替えようとしたが、前方に鋭いピナクルがあり、クライミングシューズのまま前方の岩を降ると、人が歩いているのが見えた。驚いて思わす、「そこ縦走路ですか?」と声を掛けた。その人は、「そうです! こちらが赤岳です!」と私から見て右後ろ方面を指さす。見ると立派な縦走路を、何人も人が歩いている。どおりで、さっきから人声が聞こえていたはずだ。時刻は11時。で登ったのは本当に中山尾根だったのか。ロープは2回しか出していない。

靴を履き替え、地蔵の頭には12時。行者小屋12時40分。赤岳鉱泉帰着は13時半。

さてどうしようかと迷ったが、大体やることは終わったし、温泉の誘惑が断ち難かったので、下山を決める。

やまのこ村駐車場にたどり着いたのは、16時半。お店に1日早く下りたことを伝えると、1000円返金してくれた。

※帰宅後、冬期クライミング(白山書房)で中山尾根の冬のトポを確認したところ、最後の岩稜帯(上部岩稜帯)以外はほぼ私の記述通りでした。上部岩稜帯は、多分、夏と冬では状態が異なるのでしょう。

最新八ヶ岳ベーシックアイス2020冬

2020/12/12〜13 「八ヶ岳ベーシックアイスクライミング&ちょこっとバリエーション」

2020/12/12:裏同心沢〜大同心南稜と南稜バリエーション(途中まで)

2020/12/13:ジョウゴ沢〜硫黄岳ピーク

メンバー:O崎、I原Y江、HG、M崎、T橋(男3・女2)

車一台フル乗車で八ヶ岳赤岳鉱泉へ。上の駐車場にはけっこうな車の数。やはり人が多そうな予感。まぁyccだけでも10人近く入ってるのかな(それぞれパーティーごとバラバラに)

3人テント、1名テント、1名小屋泊。

私は1人コロナ事情(密防止)でソロテン&ソロ鍋、今流行りのソロキャンプ的感じ。

鉱泉に到着すると想像してたよりも人とテントの数が少ない。テント受付(小屋泊も)は消毒があるからと10時からになってるようだ。なるほどそれもあってか皆出足が遅いのかも。

初日は皆(我ら5人パーティー)で裏同心へ。時間あれば大同心南稜へ行く予定。そのつもりでガチャをザックに詰めいざ出発!

裏同心へ着くとやはり順番待ちの人が…

フリーで横をすり抜けるわけにもいかないので順番を待って我々もフリーのHG以外はロープを結んで抜ける。今シーズン初アイス。久しぶり氷の感触とアイゼンの感覚を楽しむ。

アイスの女王ことI原女史

最近ノリに乗ってるM崎と後ろに私

そんなに長い順番待ちも無く最終ピッチへ。

HGがフリーで、残り2組でペアを組んで進む。I原女史がリードで私と。T橋リードでM崎とペア。若手女子期待のT橋はアイス初リード(前のピッチで擬似リード済)

おニューのダートで初リードのT橋Y子

安定して登っていく。道具の進化もあるが昨シーズンの平爪アイゼンでの基礎と今シーズンフリーを頑張った成果が出てるのだろう。

大同心基部へ到着してホッとするT橋とHG

大同心南稜の取付へ到着するとすでに2パーティーが取り付いており途中順番待ちの様子。

先ずはM崎とI原ペアでM崎リードでノーマルルートをスタートし順調に1ピッチ目終了点へ。2ピッチ目は先行パーティーの順番を待ってI原女史リードでテラスまで。

我々は私とT橋HGの3人。HGリードでスタートするが左のバリエーションは面白いけど上に行くと下からの印象よりも壁が立ってきて難しくなるよと言った私の説明の言葉も興味に変わったのか簡単な右から行かずに左のフェースから左、左へとルートを進めていった。

もちろん残置支点もほぼ無い。ますます左手の難しい方は進んでいく。過去私も左側のフェースを登ったことがあるがそれなりに難しかった記憶があるので少し心配だ。

彼も気が済んだと思うし、そろそろ日暮れも近いので時間切れだから下降してと頼む。下降ルート取りと方法を指示したがなかなか理解してもらえなくて少し時間がかかる。途中皆のヘッデンをザックから集め暗くなった時の下降路も確認をしておく。その後下降もスムーズにうまくいき暗くなる前には大同心稜上部の危ないところを抜けることができた。

2日目最終日

今日はジョウゴ沢〜上へ抜けるルートへ。途中で乙女の偵察へ(状態良ければ登るつもりで)

ジョウゴ沢もまだ登れるかわからないが行くだけ行ってみることにする

ここもさっそくそれなりの数のクライマーの姿が…

先行パーティーとその順番待ちパーティーが最初の氷を登ってるのでここはパスして巻道から上へ抜け先を急ぐことにする

最初の滝を抜けると冷たい風が…  微妙な天気。寒い。しばらく歩くと

乙女の下の喉の氷へ。氷が薄く細い。慎重に1人ずつそっと抜ける。

立派な乙女が姿を見せる。

今日は残業したくないのでここは上へ抜けることを優先して偵察だけとして先へ進むこととした。

大滝へ到着、あまり状態は良くなさそうだかなんとか1本はラインとれそうだ。

2パーティーに分かれて登攀

M崎がピュアアイスな大滝を登る。その後HGリードでT橋Y子も後を続く。

ここから先は私がガイド

最後に硫黄の壁にぶち当たる。最後の凹角を抜けると稜線へ。

硫黄岳頂上に人がいたので集合写真をお願いする

この先行の登山の2人組の足下を見るとハイキングシューズにアイゼンも履いてないようだ。登山道の状態を聞くととくに問題ないとのこと。昨今の冬山は安易なイメージなのかな。硫黄からの下降にも同じようなスタイルの人達とすれ違う。危険意識と装備への意識が山の怖い一面を知る我々とは認識が違うのかな。クワバラクワバラ。

山の世界でも世の変化を感じた今回の山行であった

 

 

 

 

 

 

摩利支天大滝〜阿弥陀岳北西稜(2020/3月/日帰り)

2020/03/01 日帰り

八ヶ岳摩利支天大滝〜阿弥陀岳北西稜

パートナーは新会員のI川くん。I川くんは杉並労山にも所属している方で、彼との山行は今回で三回目。二人合わせて年齢100歳超え。I川くんには少しハードかもしれないこの山行。さてどうなることやら。

東京を前夜22:30に出発、途中切れたヘッドランプを自分で交換したり、高速速度制限以下のスピードのため夜中の1時半過ぎくらいにやっと小淵沢に到着。まぁいつものことか。

当初1時間ほど仮眠して出発としてたが日頃の疲れと寝不足で意識が全く覚醒せず、あと10分、あと15分とプラスのちょい寝してなんだかんだで一時間ほど寝てしまう。それでも2時間の仮眠ではまだ眠い。

美濃戸口でチェーンを付けて赤岳山荘の駐車場に着く頃には明るくなっていた。

7時スタート

1時間ほどで摩利支天大滝への分岐に着く、標高に弱く八ヶ岳の高さだとアプローチからヘロヘロなI川くん、この分岐で20分ほど彼の到着を待つ。

摩利支天大滝へのトレースはあるが新しいトレースは無いようだ。

彼がまた遅れる。その遅れた後ろに後続の若い人たちがもの凄い勢いで彼へと追いついてくる。「頼む、追い抜かれるなよ」と心の中で叫ぶ。I川くんも必死なようだ、その必死さが離れている私にも伝わってくる。そうこうしてると後続がI川くんに追いつく。追いついた彼等と何か話しているのが見える。ん〜、若い後続パーティーが引き返していったぞ。理由をI川くんに聞いたら「ここは赤岳へは行きますか?」とのこと。どうやらI川くんの後をついてきてしまったようだった。

大滝へ近づいて写真を撮る、マーリーチーから垂らされた糸のようだ!空には飛行機雲!

大滝の上部からはスノーシャワーがひっきりなしに落ちてくるのが見える。4〜5分おきには大きめのシャワーが氷のカケラと共に落ちてくる。日が上がるにつれその間隔も短くなってきた。

I川くんにリードするかと尋ねたら各駅停車になるとのことで辞退、大きめスノーシャワーの合間に私トップでスタートする。

シャワーに耐えながら登るがフードが外れフードにスノーシャワーも溜まって背中にも入ってきた。

滝上まで抜け、ルンゼ分岐の細めの灌木でピッチを切りI川くんを迎える。

大滝から上はトレースも消えて完全にラッセルである

I川くんに先を行かせてみたが20メートル程ですぐに追いつき、すでにヘロヘロ、ぜぇぜえ〜言ってるので私が先を行くことにする

すぐに彼が出遅れ一人でラッセルする、だいたい股下ラッセルだが締まってるところで膝下くらいか。たまに踏み抜きあり。

I川くんが全然追いついてこない。普通なら心配するところだが彼にはこれが普通であるようだ。

ルンゼの末端を左手から尾根の方へ、尾根へ上がってから、リッジへ深い雪をラッセルトラバース、北西稜のトレースに合流した

昨日か今日の先行のトレースが付いている。ここからは先行がいるなかは見えないが上部から人のコール声が。僕らが行く頃には先行は上へ抜けていることだろう。

ここで遅れているI川くんを待つ、30分ほど待ってやっと上がってきた。

彼が見えたところで彼が追いつくまでザイルの末端を固定して一人でザイルを伸ばす。彼がザイルに追いついたところで末端を結んでもらってランニングコンテで先を行く。彼がへばっていてなかなかザイルが進まない。第一岩峰の取付き、ビレイ点まで行き、ランニングを取りコンテのまま第一岩峰をクライミング、先行パーティーに追いつく。

抜くこともできないのとこの先難しいところも出てくるのでI川くんがビレイしてくれるのを待つ。I川くんがやっとビレイ点まで上がってきたのですぐにビレイしてもらうように伝えるが「トイレ行きたい」と。ちょっと我慢してもらいビレイをしてもらう。

先行パーティーは3人、フォローの2人が登っていったところで私もスタート。相変わらず嫌らしいピッチである。ジャルパインピッチだ。

ピッチ終了点のテラスには先行パーティーが状態ピッチを登攀中。のんびり登るがI川くんのトイレの我慢も限界だろうからとりあえず先を進むとまもなくテラス下まで到着。先行パーティーには申し訳ないがビレイ点から長めのスリングを1本取らせてもらいテラス下でピッチを切る。I川くんも無事にトイレを済ませフォローで上がってきた。

先行パーティーが左のトラバースへは行かずに右のルートを選択したようだ。そのおかげで私達は核心ピッチを待たずに行くことができる。

先行のフォローが登り始めたところで左手へトラバーススタート。ピッチを切りフォローも到着。ここでもう一本あるダブルロープを結び、核心ピッチを登り始める。ここも私がリードする。

雪がところどころ壁に付いているがフワリと乗ってるだけなのでエッジ探しにクリーニングしながら登る。手が冷たくなってくる。前登った時よりもかかりが悪くなってるような気がするんだが…。アイゼンの爪を減らさないようになるべくガリガリやらずに静かに登る。

最後のハーケンにランナーをとってここから一気に行く、右側の岩にトルキングして身体を引き上げる。さらに上部の岩にフッキングしてガバへ。そのカバを掴んで上へと身体を引き上げようとしたところで、右ルートを選んだ先行パーティーフォローの女性が真上にいて「ビックリした〜!」と驚かれる。こっちもその声にビックリ!先に行かせてくださいとのことなので、ハングのガバを掴んだ状態で耐えることに。先行の女性が真上を通過していったところで冷たくなってきた手とパンプ気味な腕をシェイキングしてハングを乗っ越して上に。最後焦ったがなんとかフリーで上がってくることができた。

先行パーティーのトップが上の方でフォローをビレイしてたので、すぐ上のビレイ点が空いていたので空くのを待たずにピッチを切ることができた。

フォローのI川くんを迎える。彼がするグローブのテムレスが冷たいのか何回もテムレスを脱いで手を温めている。核心のハング下では残置のお助けスリングにフィフィテンション。こんなんでフォローに時間がかかる

I川くんがなんとか上がってきた。終了15時10分くらい。

そのまま安全地帯の上まで行ってもらうがかなりのヘバりようでぜぇぜえやっててなかなか進まない。彼が大丈夫だろうなというところまで行くのを待ちビレイを解除して後を追う。すぐに追い越しザイルを畳んで阿弥陀岳ピークを目指す。

途中摩利支天ピークで手を合わせる

南無マーリーチー 合掌

I川くんは阿弥陀岳自体が初めてなので、登頂を譲ってみたが、先に行ってくださいとのことだったので私が先にピークへ。

15時半頃登頂!

先ずは阿弥陀さまへ五体投地でご挨拶

南無 アミターバ 合掌

I川くんも無事に阿弥陀岳初登頂!

先行パーティーと挨拶して下山。行者小屋で遅れてる彼を待って顔を見てから南沢を降りる。途中雪も溶けてビチャビチャ。跳ね返りで汚れないように途中からゆっくりと歩くが1時間ほどで駐車場へ到着。明るいうちに駐車場へ着くことができたが…。I川くんがなかなか来ない。待つこと30分くらいだろうか、彼もギリギリ真っ暗になる前に駐車場へ戻ってくることができた

時間はだいぶ掛かってしまったが無事に完登できたので良しとしよう!