谷川岳一ノ倉沢3ルンゼ 2019初秋

首都圏を台風が直撃する前に登ってきました。

谷川特有の霧は出そうだがそこまで崩れることもないだろう。霧とルンゼと台風がもたらす風が晩夏の一ノ倉沢を快適な登攀にしてくれるだろう。そんな期待を込めて入ってみた。それに台風前の強い風が壁も乾かしてくれるだろう。

心配なのはテールリッジ末端の雪渓の状態である

今回のパートナーは昨年入会した新人ken。kenとは昨夏からのザイルパートナー。ここ最近めっきり力をつけてきた。付き合い始めは負けなかった歩きも今では越されてしまった感が…。ジジイは老いていく一方だか、まだ二十歳を超えたばかりの伸びしろは素晴らしい。嬉しさの一方で懐かしさと己の老いを実感する今日この頃である。

kenと成長し合ったこの一年を過去回帰になるが少しずつ投稿していくつもりである。振り返ることも時には必要。前進への一歩でもあるのだ。

あまりの眠さに暗いうちから出発が出来ずにあせる。睡魔を振り払うように徐々にスピードを上げ一ノ倉出合に到着!

やはり出合は霧に覆われていた。雪渓の状態がここからは確認できないが、先に入っているであろうパーティーが降りてくる気配がないのでまぁ大丈夫だろう。

いつものように高巻きルートを懸垂地点まで行って下を覗いてみると雪渓が無い!これで一つ心配がなくなった。

高巻きの壁をささっとクライムダウンしてテールリッジをひたすら登る。

ガスってはいるが暑い!蒸し暑さに体力を奪われながらも時折見せる青空が足取りを少しだけ軽やかにする

奥壁には南稜フランケ取付きにワンパーティーのみ(確認できたのは)。

南稜テラスに到着してみると6月に見た渋滞が嘘のような静けさ。誰もいない南稜テラスから本谷バンドを経て取付きまで。

テールリッジまでのアプローチではビチョビチョで少し心配したが、ルンゼに流れはあるものの壁は予想以上に乾いていた。勘が当たった。

1ピッチ目 自分から。その先kenとつるべ。

1ピッチ2ピッチ目はルート探しながらの登攀で少し時間をロス。草付きは最近人が入ってないせいなのか今シーズンはうちらが初めてなのかわからないが、草ぼうぼうで足元が見えず余計に時間をとられた。この状態は最後まで続くのであった。

ようやく3ルンゼF1に入る

4ピッチ目を登るken!

5ピッチ目 最初の核心F2をkenが行く

ぬめってはいるが流心に近いところの方がホールドもありピンもとれる。最後は左のスラブから抜ける。ここにも残置ピンはあった。

その後スラブをF3下まで。簡単なところはほぼピンがない。F1上のスラブには左岸にいくつかの残置ピンは見受けられた。

続くF3をkenがいく。この日はkenに美味しいところを譲る。

最初のチムニーを中心かれ抜ける。壁はヌメヌメだが落ち着いていけばホールドもピンもある。ザック対策をしていくと抜け口のハングが楽になる。上段のチムニーはトポには途中から右の壁へ抜けるとあったがkenはどうやら左側の壁から抜けたようだ。この左側には残置ピンは少ないながらあった。俺ならこの左側からはいかないだろう。フォローはトラバース手前のランニングを回収した後に落ちると壁に叩きつけられるような位置になるので慎重に!

F3を終わったスラブの途中からスタカットからコンテに変えてひたすらスラブと草付きを登る。リスクが高いこの先は終始私が先頭に立つ。30〜50Mに1本くらいハーケンを見つける。

野生の勘を頼りに進む!

垂壁に頭を押させられたところを左側から巻くように抜けて草付きを登ると小尾根に出た。ここで一旦ザイルを解き、それぞれフリーにて草薮と露岩を登る。

途中出てくる頼もしい熊笹にホッとする。熊笹に力を込める度懐かしさで嬉しくなる。

途中難しい露岩に出た。見上げると途中3本くらい新し目のハーケンが残置されているのが見える。取付きらいしピンもある。左右から草付きを登ってもよかったが、それなりに急でリスクもあったのと草薮にそろそろ飽きてきたころ。残置ピンもしっかりしてるようなのでこのスラブ状の垂壁をトライしてみることにした。登ってみるとそこそこ難しくアプローチシューズで取り付いたのを後悔する。とくにピン三つ目上からの核心にはピンがない。ここをアプローチシューズでトライするにはリスクがあるのでピンを1本打ち足し抜けた(回収済み)

その後足元が見えないぼうぼうの草薮を足で弄り、踏み跡を足裏で感じながら、高度を上げ順調に稜線まで抜けることができた。

稜線に抜けるとガスが湧いてきた。ピークに到着した時にはすっかりガスの中。風も強い。蒸し暑さにはちょうど良い。

ちょうど上がってきて高齢者の登山パーティーに写真を撮ってもらい下山へ。下山は西黒尾根へ。途中肩の小屋で休憩!コーラで乾杯!

「美味い!」

登山者に磨かれた久しぶりの西黒尾根を駆け下りる。

何とか明るいうちに帰って来られた。

久しぶりのクラシックルートに大満足な一日でした。

やはり谷川は素晴らしい

登攀日:2019/09/07

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です